日本で一般的に販売されているスマートフォンのカメラにはシャッター音が強制的に鳴るという欠点がある。この仕様は日本及び韓国ては一般的だがその他の国ではほぼ見られず、グローバルモデルの端末であっても日本で利用すると強制的に鳴ることもある。端的に言ってゴミ仕様と言って良いだろう。また、カメラだけならまだしも、スクリーンショットまで強制的に音が鳴るのは頭がおかしいと言わざるを得ない。しかもこれは法律や条例などで規制されているわけではなく、メーカー在籍の友人の話によると,携帯キャリアからの要請による自主規制のようだ。
音が強制的に鳴るのは非常に困る。撮影可能な博物館や静かなレストランで雰囲気を損なわずに撮影しにくくなるし,音に敏感な赤ちゃんや動物などの撮影が難しくなってしまう。電車の中でスクリーンショットを撮ればカメラでの撮影と勘違いされてトラブルになる可能性も想像できる。
本来ミラーが機械的に動くことにより強制的にシャッター音が鳴るデジタル一眼レフカメラにもサイレントシャッター機能が実装される程度には、音の鳴らないシャッターに需要がある。
このような仕様になっている理由は想像できる。恐らくは盗撮対策だろう。撮影時に音が鳴れば盗撮はできないという浅はかな考えによるものと推測できる。
確かに音が鳴れば盗撮しにくい。しかし、無意味とは言わないが、効果は限定的で根本的な解決になっていない。
スマートフォン本体だけでも標準の動画撮影機能を利用すればシャッター音を鳴らさずに撮影することができる。また, Google Play Store や App Store には無音シャッターのカメラアプリが多数公開されており、それらを利用すれば音を出さずに撮影可能だ。
Android スマホでシャッター音を無音で撮れるカメラアプリ SILENT CAMERA | Lonely Mobiler
Android スマホでスクショを無音で撮る方法 | Lonely Mobiler
盗撮に利用できるものはスマートフォンだけではない。Amazon を見ればペンやメガネ,モバイルバッテリー,ACアダプタなどの形を模したカメラや超小型のビデオカメラなど、盗撮用としか思えないグッズも大量に販売されている。
このように簡単に盗撮できる環境で、シャッター音を鳴らすだけでどれだけの犯罪を抑制できるのだろうか。俺にはスマホメーカー及び携帯電話キャリアの「私は対策してますよ」というポーズを出すための存在にしか見えない。そのためだけに俺を含む盗撮をしない99%の人間は困っているわけだ。
海外でも盗撮自体は存在するがシャッター音が強制されないのは、悪いのは道具ではなくそれを利用する人間であると正しく理解されているからだろうか。銃の所持が正当化されている米国なんかはそのような考えであっても不思議ではないかもしれない。
盗撮を防ぐのであればこのような場当たり的なものではなく、監視カメラの追加や満員電車等の盗撮が出やすい環境を無くすべきだ。最近は都心の電車内にも監視カメラが増えており、またコロナ禍で出社する人数が減ったのか車内の混み具合も以前よりはマシになっている。
盗撮は犯罪であるがその為に効果の薄い対策で関係ない善良な市民に不便を強いるのは止めていただきたいものだ。
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