最近は ChatGPT や Stable Diffusion といった生成 AI が流行っているようだ。テキストや画像を生成してくれるプロダクト・ソフトウェアだが、それらは Web 上にある大量にあるテキストや画像をスクレイピングし、機械学習に読み込ませることによって成り立っている。
そのため、ニュースサイトやイラストレーターなどからは勝手に利用するなと反発が上がってる。このブログも月間 PV が過去最大で20万を超える程度にはアクセスがあるのでおそらくテキスト生成 AI や画像生成 AI にも読み込まれていると思うが、技術の発展は喜ばしい事であると同時に勝手に使わないで欲しいという気持ちも無くもない。が、現状の著作権法的には問題ないという事になっている。
テキストを守ることは難しいが、画像であれば機械学習に対抗する技術がある。それが Nightshade 及び Glaze だ。Nightshade/Glaze を利用して画像を加工すると、画像に毒を盛ることができ、機械学習の素材として適さない形式にできるらしい。
Nightshade: Protecting Copyright
Glaze - Protecting Artists from Generative AI
Nightshade/Glaze はアメリカのシカゴ大学により開発されたソフトウェアで安心して利用可能だ。
このページでは上記二つのうち Nightshade を利用して画像を機械学習に対抗する方法を紹介しよう。
Nightshade を利用して画像を機械学習に対抗する形式に加工する方法
まずは公式ページよりダウンロードしよう。今回は Windows 版を利用した。
zip ファイルをダウンロードし、適当なところに展開しよう。
展開するとその中に「Nightshade.exe」があるので、実行しよう。
そうするとこのようなウインドウが現れる。
使い方は以下のような感じ。
- 「SELECT YOUR IMAGE(S) 」に Nightshade をかけたい画像を選択する
- 「DEFINE NIGHTSHADE SETTINGS」で Intensity と Render Quality を選択する
- 「OUTPUT」で画像の出力先を選択する
- 「Run Nightshade」をクリックする
これで画像に Nightshade をかけることができる。
DEFINE NIGHTSHADE SETTINGS の欄で Nightshade の強度を設定できるが、強くするとその分画像も汚くなる。強度別の画像は以下のような感じ。
まずは元画像
LOW
DEFAULT
HIGH
WordPress 側の画像処理も入るので少しわかりにくくなってしまうが、この写真であれば DEFAULT まではちょっと汚い画像かなぐらい。HIGH になると見るに堪えないレベルだ。アニメ絵のようなベタ塗が多い画像ではよりノイズが目立つようなので、元の画像に合わせて強度を選択すると良さそうだ。
実際にどの程度効果があるのかを自分で検証することは大変なのでやらないが、ニュースを見る限りではそれなりに効果がありそうではある。
AIが生成する画像を「ネコ」にするサイバー攻撃 絵師らを守る技術「Nightshade」 米シカゴ大が開発:Innovative Tech(AI+) - ITmedia AI+
まぁこういう技術はいたちごっことなる可能性はあるが、現状取れる数少ない手の一つであることを考えると、生成 AI に使われたくないのであれば使っておくと良いかもしれない。
ちなみに去年12月にあった政策会議「AI時代の知的財産権検討会(第4回)」内の資料「AI時代の知的財産権検討会 論点整理」には
業務妨害を引き起こすことを目的とした悪質な妨害行為については、刑事罰の対象となる可能性もあり得ると考えられる
という記述があるが、故意に Nightshade をかけた画像をモデルに混入させるような行為をしない限りは問題にはならないだろう。問題があるのであればシカゴ大学を訴えてはいかがだろうか。
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